琵琶湖の魚介類減少 -植物プランクトンが影響か-
平成31年2月13日環境新聞記事
琵琶湖に生息する植物プランクトンの質の変化が、魚介類の減少に影響している可能性があると、滋賀県琵琶湖環境科学研究センターなどの研究グループが、今年度までの調査で明らかにしました。同県琵琶湖政策課課長補佐の奥田氏は、湖の状態のカギを握っているのは植物プランクトンで、植物プランクトンの種類が昔と変わり、魚につながらない(餌にならない)植物プランクトンが増えていることが、琵琶湖の生態系や水質の問題につながっていると見ています。
琵琶湖流域では高度成長期から下水道が整備され、富栄養化の問題にも成果を挙げてきましたが、研究の結果、排水の流入による水質への影響は少なく、影響の7割以上が植物プランクトンの種類や細菌類の変化に基づく「内部生産」に由来するものとわかりました。昭和60年代を境に琵琶湖の植物プランクトンの種類が大幅に減っているとわかり、アユなどの漁獲量も激減し対策が求められる中、新たに水質と生態系のつながりに着目した研究が始まっています。琵琶湖環境科学研究センターの佐藤氏は、湖内で生産された有機物(植物プランクトン)が、有機物の消費者(魚など)や分解者(細菌など)に「過不足なく滞りなく」使われることが、水質と生態系の保全を両立させるとの認識を示しています。
【管理人より】
本記事は湖についてのものですが、近年は瀬戸内海でも水質は改善傾向にある一方で、漁獲量の低下やノリの色落ちなど、単純に水質汚濁対策のみでは解決できない事例が見られていることから、参考として掲載しました。