生分解性漁具の普及促進を-海洋プラの「官民協力」第3弾

平成31年4月17日環境新聞記事

海洋プラスチック問題の解決に向けた「官民イノベーション協力体制」の第3弾として、原田環境相は11日、東京大学の岩田教授、中興化成工業の大久保執行役員と意見交換しました。海ごみの中でも大きな割合を占める漁具の対策に向けて、岩田氏らは、生分解性プラスチック製の漁具や釣り糸を普及するための支援を求めました。
海洋
プラスチック官民イノベーション協力体制は、プラスチックに関連する日本の先進的な技術や活動事例を集め、主要20か国・地域(G20)閣僚会議での発信を目指すもので、今回は、第1回のインターネット通販(eコマース)、第2回の途上国向け廃棄物処理支援に続き3回目となります。
(参考)http://plastics-smart.env.go.jp/files/news/190312.pdf

【中興化成工業】
1985年に生分解性プラスチック製品の開発を開始。生分解性の分別回収用ごみ袋や土嚢用の袋などを商品化。90年から水産分野の製品展開を目指し、生分解性漁網の実証試験を行ったが、費用対効果などの問題から商品化には至っていない。
【東京大学 岩田教授】
糖や植物油と微生物を合成し、世界最高強度の生分解性繊維を開発した。海を汚染するプラスチック繊維に代わり、生分解性繊維を釣り糸や手術用縫合糸、衣料などに利用可能としている。

原田環境相は、「漁具はプラスチック政策の中で圧倒的なウェートを占める。水産庁も対応しているが、海には既に相当な量が蓄積され、新たに流れ込んでいるものもある。使用後の行政的な取り締まりも含め、対応の必要がある。」と述べました。大久保氏は、生分解性の漁具の生産には、「原料価格が高いと同時に、成形が既存のプラスチックよりも遅い。その分、人件費などもかかり、最終製品が高くなる。」と説明しました。岩田氏は、「技術的な開発はかなりできているが、企業の大量生産にはつながっていない」現状があるとして、商業化に向けて、「(長期的な共同開発に)企業が利益を度外視して取り組むことができなければ、国が補助金を付けることで、ブレークスルーするのではないか。」と訴えました。