微小プラの有害物質が貝に蓄積_東京農工大グループが確認

令和元年6月12日山陽新聞記事

海の微小なプラスチックごみ「マイクロプラスチック」に元々含まれていたり、表面に吸着されたりした有害化学物質が、貝などの生物の体内に取り込まれ、生殖器官などに蓄積することを、東京農工大などの研究グループが確認しました。

東京農工大の高田秀重教授らの研究グループは、2018年10月に沖縄県の座間味島で、大量のプラスチックごみやマイクロプラスチックが漂着した海岸でイソハマグリやムラサキオカヤドカリなどを採取し、体内の有害化学物質濃度を分析し、島内のプラスチックごみがほとんどない地域で採取したものと比較しました。汚染が激しい地域のムラサキオカヤドカリからは、マイクロプラスチックが体重1グラム当たり最大482個見つかりましたが、非汚染地域の個体では、ほとんど見つかりませんでした。
また、グループは、海水中のPCBなどの汚染物質を吸着させたポリエチレン微粒子を使い、室内実験を行いました。微粒子を入れた水でムラサキイガイを飼育すると、いったん体内に取り込まれた粒子は、実験開始から24日後にほとんど排出されましたが、生殖器官中のPCB濃度が高く、PCBが粒子から溶け出して移行、蓄積したことがわかりました。

高田教授は「マイクロプラスチックが有害化学物質を生物体内に運ぶ経路となっている。人間を含め、このような形で体に入る影響を詳しく調べる必要がある。」と指摘しました。