全国10地点における漂着ごみ調査(平成29年度)結果_環境省

令和元年10月4日環境省報道発表(※管理人まとめ)

環境省では平成22年度から海ごみの調査を行っています。平成29年度は、漂着ごみについては全国10地点を対象に調査を行いました。漂流ごみ及び海底ごみについては、北海道の内浦湾(噴火湾)及び鹿児島湾を対象に、プラスチック類等の人工物を中心に量や種類などの調査を行うとともに、沖合海域等において存在量等の調査を行いました。また、近年、海洋生態系への影響が懸念されているマイクロプラスチック(5㎜以下の微細なプラスチック類。含有・吸着する化学物質が食物連鎖に取り込まれ、生態系に及ぼす影響が懸念されている。)に関する調査を行いました。

1.漂着ごみ調査
平成29年度の漂着ごみ調査は、稚内(北海道)、根室(同)、函館(同)、尻屋(青森県)、遊佐(山形県)、八丈島(東京都)、淡路(兵庫県)、松江(島根県)、五島(長崎県)、日南(宮崎県)で行いました。
①漂着ごみの組成比(容積ベース)は、10 地点中8地点で自然物に比べ人工物が多く、人工物では地点ごとにその構成は大きく異なるものの、 ペットボトル、発泡スチロール、漁具等のプラスチック類の割合が高い地点が多くなっていました。
②漂着したペットボトルの言語表記は、八丈島、五島及び日南では外国語表記の割合が5割以上を占めていました。一方、函館及び淡路では外国語表記の割合が1割以下で、稚内、根室、尻屋、遊佐及び松江では日本語が6割以上を占めていました。

2.漂流ごみ調査
平成29年度の漂流ごみ調査は、沿岸海域においては、北海道の内浦湾(噴火湾)及び鹿児島湾で目視観測調査により実施しました。沖合海域においては、東京海洋大学、北海道大学、長崎大学及び鹿児島大学の練習船の協力を得て、フィリピン東方の海域や東経180度付近の海域まで目視観測により実施しました。
①沿岸海域において発見された漂流ごみ(計530個)のうち、人工物は約24%の126個でした。
②沖合海域においては 、東北北部の太平洋側でレジ袋の分布密度 が高かったほか 、東シナ海で発泡スチロールの分布密度が高くなっていました。

3.海底ごみ調査
平成29年度の海底ごみ調査は、沿岸海域においては、内浦湾(噴火湾)及び鹿児島湾において、合計11の漁業協同組合の協力により、底曳網漁業者が操業中に回収したごみについて、容積・重量・個数を計測することにより実施しました。沖合海域においては、東シナ海(長崎南西沖)、大洗沖、苫小牧沖において、前述の4大学の協力を得て、トロール網を用いた海底ごみの回収調査を実施し、重量と個数を計測することにより行いました。
①沿岸海域の容積ベースでは、多くの調査地点において、プラスチック類の占める割合が高く、プラスチック製の漁具、レジ袋、破片が多くなっていました。
②沖合海域における自然物と人工物の比率をみると、重量ベースでは大洗沖及び東シナ海ともに自然物の占める割合が 80% 以上と高く、苫小牧沖では人工物が占める割合が 71% と高くなっていました。

4.沿岸海域におけるマイクロプラスチックの調査
平成29年度は、沿岸海域においては、漂流ごみの目視観測調査に併せ 、内浦湾(噴火湾)及び鹿児島湾 の計9 地点で、マイクロプラスチックを採取しました。沖合海域においては、漂流ごみの目視観測調査に併せ 、我が国周辺の沖合海域及び南方海域の 109 地点において、マイクロプラスチックを採集しました。
①沿岸海域においてマイクロプラスチックの海中密度を算出したところ、鹿児島湾の1地点( 3.3 個/㎥)を除き、 0.1~1.4 個/㎥となり、平成 28 年度調査(青森県陸奥湾、富山湾及び福井県若狭湾)の調査結果( 0.03~ 1.9 個/㎥)の範囲内でした。
②日本周辺の沖合海域においては、平成26~28 年度調査と合わせてみると、全体的にマイクロプラスチックが分布しており、東北の日本海側及び太平洋側沖周辺、四国及び九州の太平洋側沖周辺で高い密度(海水1当たりの個体数)を示す傾向がみられました。一方、南方海域の密度は低くなっていました。

※詳細は、環境省のホームページをご覧ください。
http://www.env.go.jp/press/107245.html