環境省、小笠原諸島沖合を「保全地域」へ
令和2年3月18日環境新聞記事(抜粋。一部管理人が追加)
環境省は改正自然環境保全法に基づき、小笠原諸島沖合を「沖合海底自然環境保全地域」の第1号に指定し、沖合海底の貴重な生物資源の保護に乗り出します。
小笠原諸島は東京から南約1千㎞にあり、2011年には世界自然遺産にも登録された「東洋のガラパゴス」とも呼ばれるほど貴重な自然の宝庫です。また、日本最東端の南鳥島、最南端の沖ノ鳥島も抱え、小笠原諸島を起点とした「排他的経済水域」は本土面積を超えており、国防上からも重要な位置にあります。その小笠原諸島の沖合が、昨年4月に成立した改正自然環境保全法に基づく「沖合海底自然環境保全地域」に6月(記事の時点)にも指定される見通しです。
2014年には中国漁船が大挙して小笠原諸島沖合に押し寄せ、海底の宝石サンゴを根こそぎ乱獲した事件があります。石原環境副大臣は、改正法に基づき指定地域では貴重なサンゴなど動植物の捕獲行為などが規制対象となることを、国防上の意味からも高く評価しています。
環境新聞社が島民に取材したところ、主に2014年9月から11月にかけて、中国漁船が多いときには200隻以上が10㎞圏内に来襲し、夜でも電気を付けて密漁していて、仮に上陸してくれば島の人口に近く、武装していれば島が簡単に制圧されてしまう危機感を持っているということで、改正は自然環境の保全だけではなく、小笠原の島民の安全と国の安全保障にも貢献するものとなります。
なお、改正の背景としては、我が国は世界有数の広大な管轄区域を有する海洋国家で、沖合域には海山、熱水噴出域、海溝などの多彩な地形、特異な生態系、生物資源が存在します。国際的に海洋の産業利用が進む中、海洋環境の保全が世界の潮流となっており、生物多様性条約の第10回締約国会議(2010年)で決定された「愛知目標」の「個別目標11(陸地の17%、海の10%はなにがあっても守る場所に決めよう。※国際自然保護連合日本委員会の冊子による。)」を踏まえ、安全保障の面からも保護区の拡大が要請されていることがあります。